2017/11/19

戦術級ゲームだって、事前計画が楽しい(と思う)…Air Power/エアスペリオリティ/ストライク(CoA/GDW/HJ)

空戦の戦術級ゲームの醍醐味はドッグファイトではありません! (と言いたい)

エアストライク(GDW/HJ)の一般(汎用)対地攻撃シナリオG-12において、攻撃側を担当しました。防御側はソ連軍、攻撃側はNATOの設定です。Air Power(CoA)のルールでプレイします。



●プレイ開始までの企画
プレイ当日までの間に、マップ決定や防空部隊選定と配置、機体と装備の決定を事前に行っておきます。
マップ
(黄:主目標、緑:主目標になり得る、赤:SAM)
G-12シナリオのセットアップ手順に従い、目標のある地図を決め(今回は機械的に決めました)、地図上にあるターゲット候補から主目標を秘密裏にランダムに決めておきます。今回は「燃料集積所」と同へクスの「駐機ヘリ4機」となりました。橋や飛行場、鉄道もマップにはありますが、これら他の目標から離れています。うまく陽動できれば接近が容易になるな…と漠然と思っていました。

次に、防御戦力を聞きますが(このシナリオは防御側が選んだ戦力を事前に聞ける)、なんとSAM8基!!主目標攻撃に2機、SEAD(敵防空網制圧)に2機は割り当てたい。それぞれの任務に単機では不安ですし、また1プレイヤーで扱える限界は4機だと思います。シナリオに従い「総価値」で購入しなければなりませんが、ポイントをケチってF-4Gなどのワイルドウィーゼルは購入せず。SEADにはA-7E、主目標攻撃にはHarrierを選びました。海兵隊だか何だかわかりにくい編成になってしまいましたが、今回はご容赦(別の案としては、イタリアのトーネードとAMXを検討していました)。
SAMに対抗するためRWR(レーダー警戒装置)のグレードがCの機種を選択しデコイディスペンサーポッドを搭載しました。また、主目標攻撃機は機体サイズが小さいことを第一に選定しました。発見される可能性を少しでも減らすことと、対空砲火の命中率を下げることに主眼を置いたためです。主な兵装はA-7EはAGM-88HARMとAGM-65マベリック、Harrierはロケット弾ポッド。少しでも遠い距離から攻撃できることと、単一目標ではないので多弾頭の兵装(副次目標に対しても攻撃力が減ぜられない)をチョイスしています。またSAMからの自衛用にジャミングポッドを搭載しています。
エアストライクの一般シナリオでは「総価値」に基づいて編成を購入しますが、防御側の120点に対し244点。シナリオルールにより防御側に94点(244-(120+30))のボーナスが着くので、既に敗北濃厚。ただ、今回は「総価値」の妥当性検証も目的なのでこれは承知のうえ。ちなみに、94点は1.5機分に相当します。
●第1ターン~第3ターン
南マップの南端から進入。HarrierはTレベル(地勢追従)飛行でレーダー波を避け接近。A-7は高度1レベルでレーダーに発見されるように進入します。SAMにロックオンされ発射されたら即座にTレベルに降り稜線の陰に隠れSAMを失中させるか、HARMの射程距離であれば応射してSAMサイトを制圧することをねらっています。
5ターン終了(右上の矢印ユニットが攻撃機)
●第4ターン
このターンからレーダー索敵範囲に入るので、各機PPL(自動デコイディスペンサープログラム)をオンにします。
●第5ターン
予定通り、A-7はレーダーに発見されます。Harrierは稜線の影に隠れているので探知外です。



●第6ターン
6ターン終了
2機のA-7両方に対し、SAMがロックオン成功!しかし両機ともジャミングに成功。ロックオンが破断されてしまいます。
このターン、攻撃側は編隊を分散させます。
ターゲットである燃料集積所へはHarrierが直進。VSTOL機ならではの推力変更を使い上昇、次ターンのロケット弾発射の体勢に入ります。
A-7は左旋回し、1機は燃料集積所の左に機種を向けます。主目標になり得る飛行場、列車などがあり目標を秘匿する狙いがあります。また、SAMが多く配置されており制圧もねらっての行動です。
そして、A-7がSA-13に対しAGM-65マベリックを発射。赤外線誘導SAMをスタンドオフで制圧するためには、HARMなどのARM(対レーダー波ミサイル)は使えないのです。

●第7ターン
SAMレーダーがロックオンを3回試行しますが、すべて「10」の目で失敗。防空側を不運が見舞います。
7ターン終了
7ターン、燃料集積所破壊
AGM-65がSA-13に命中し破壊。しかしもう1機のA-7はSA-8SAMにマベリック2発を発射するも失敗します。
一方、主目標の燃料集積所にはHarrierが23mm対空砲弾をかいくぐりながら接近。ロケット弾ポッドを発射し、駐機していたヘリ4機とともに破壊しました。

●第8ターン
主目標を破壊した攻撃側は離脱にかかります。
SAMレーダーが、またもA-7に再びロックオン成功!しかし、今度もジャミングで破断されてしまいます。
くだんのSAMにはA-7が近づきますが、近すぎるためマベリックが使えず20mmバルカンによる機銃掃射。これを破壊します。
主目標攻撃を終えたHarrierは、進路上のSA-8を機銃掃射にて破壊しました。

戦果(ヘリユニットは全てMi-24とみなす)





●感想
プレイしていた時間よりも、圧倒的に事前計画に時間をかけていたと思います。
プレイそのものは防空側の不運もあり、攻撃側に損害が出ずに目標を完遂できましたが、お互いに相手の詳細(装備や配置)が不明なままプレイに入る不安感は格別のものがあります。
ドッグファイトだけだと飛行機や装備の性能比較の要素が大きく、また撃墜されないように機動するためクライマックスを迎えないまま終わってしまうことも少なくありません。対地攻撃などが関わってくると装備の選定や個々の航空機の役割、進入経路など計画にまで思考が及び、格段に面白くなります(※)。
今回のシナリオでは対地攻撃だけでしたが、最長のシナリオG-14(こなすには5日以上はかかってしまいますが…)では;
  攻撃側:制空、防空網制圧、主目標攻撃、護衛の3~4編隊
  防御側は要撃、防空、上空迎撃の3編隊
を編成します。このような構成で初めてドッグファイトのシナリオの意味が出てきます。実現可能性は極めて低いですが、いずれ挑戦したいですね。
※空戦ゲームはドッグファイトだけでは無い:このあたりの記述は、「日本語版『ブルーマックス(3W/HJ)』のルールブック」や、コマンドマガジン日本語版125号のいしださんの記事にもある通りです。

なお、一般シナリオのVP計算は「エアストライク」ではなく「The Speed of Heat(CoA)」にも記載されていることを事後に発見(汗)。勝敗判定に適用するなら、後者のものを利用した方がよいでしょう(Must Attackに書きました)。

●ルール確認
ルール解釈で困ったのが「地上ユニットからの航空機の目視索敵」でした。
航空機から航空機の目視索敵の場合、レーダーロックオンを有していると装備(ヘッドアップディスプレイなど)の効果で索敵に有利な修正が得られます。
地上ユニット(SAM)がレーダーロックオンを保持している場合、航空機を目視索敵するときに修正がつくのか…
プレイ当日にはルール記述に見つけられませんでした(GDW/HJ版でプレイしていた昔は、地上→航空の目視索敵は「索敵距離内自動成功」でプレイしていたような気がします)。今後の確認事項です。